2010年03月05日

マルサの女。

伊丹十三さんを知ったのは小学生の頃。
母は呑み屋を経営していたのでまぁ毎晩家にはいないわけで、どの夜だったか、深夜帰宅した母が、映画観るぞ!と、私を無理矢理起こし、何故か一緒に「マルサの女」を観た。
そもそも、7歳や8歳の子供にマルサの意味も解るわけがなく、冒頭いきなり女の乳をしゃぶる爺さんの画図らを深夜、ねぼけまなこで観せられる子供の心情をこの人はどう思っていたのだろうか。謎だ。
しかし、子供ながらに映画の内容がなんとなくしかわからずでもそこに垣間みるブラックユーモアや、(当時はそんな言葉はわからないからもっと大人のグロい可笑しさくらいに思っていた。)ちょっとした可笑しさ切なさなんかが、子供の自分からすると「大人のいろいろ」が充分におもしろおかしく観れて「へんないい映画だなぁ」と思っていた。
観終わる頃にはもう朝で、私はそのまま学校に行ったように思う。


同じ夜、母が店の女の子達の給料であろう現金を机にドバッと並べ、「これを30枚ずつにわけて。」と言う。私はひみつのアッコちゃんを観たいのに。。
しょうがないので言われるがままに分けた後、突拍子もなく「この30枚、重いか?」と、私に問うので「重くない。」と答えると「なんもわかっとらんねぇ。」と返された。
あぁ、大人っていろいろ大変なんだなぁ、、とその時も思ってたと思う。大人は別の生き物だとさえ思っていた。当時。


その後も立て続けに伊丹十三さんの作品を観せられた。というか、一緒に観ていた。
通して観ているうちにこの映画を撮ったおじさんに会いたいなぁと思うようになっていた。
それくらい、いつのまにか大好きになっていた。
母ちゃんの店に呑みにこないかなぁ、、とも思っていた。いやくるわけがないのだけど、小学生だから。そう思ったりもしたんです。
高校生になった頃、伊丹十三自殺という記事を見て、「あんな映画撮る人が、不倫がわかったくらいで自殺なんかするんだろうか?」と凄く違和感を感じた。
その後、伊丹さんの本も読むようになった。博学で、文章も面白い。インテリだわ。気難しいそうだけど、可愛い所もあるんだわ!知れば知る程なんていい男なの!と、思春期の私は少し恋心さえ抱いていた。

今、また観直しているんですが、あの当時の出来事なんかが蘇ってきたもので、つらつら書いてみただけのことです。
ほんで今観てもやっぱり最高に面白い。
母よ、ありがとう。

pha.jpg
posted by 見汐麻衣 at 04:14| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月10日

口紅。

「ヴィヨンの妻」を観た。
「女には不幸も幸福もないんです。」「じゃぁ男の人には?」「男には不幸しかありません。」
このセリフのシーンで泣けてしょうがなかった。
口紅をつけて、辻(堤真一)に会いにゆき、佐知(松たか子)が建物の階段を下り、口紅を芝生に置いたあとの後ろ姿がなんとも、悲しくて強くて美しかった。
共鳴しあえる相手と番いになれたら、どんな出来事も(辛い事も悲しい事も)、喜劇のようなものなのかしら。ぷはははは!と、笑えなくとも、ちっさいため息と一緒に少し口角が上がるくらいの微笑でも、事の結末に笑えるってのは太い幹を持って豊かな緑をたくさん広げた木みたいに、逞しくて強くも感じて優しい。けど、恐さもあるなぁ。
女の人が女で在る事をブレることなく、迷う事なく、がんばることもなく、ただ「女」として在れた時代はいつまでなんやろ。
そんな時代なんかなかったんかな。
佐知のような瑞々しさを持った女性に、悲しいかな、未だ私は会ったことがないです。

現代で暮らす、今まで出会った美しい人も、個性的な人も、魅力的な人も、何かしら、目には見えない武器を携えて生きている気がします。
そうでなければ生きづらい世の中なのかな。

315x210.jpg
posted by 見汐麻衣 at 02:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年04月22日

生歌、生音。原宿。マーシーショップはもうない。

頃安監督の作品に埋火で曲を提供したのですが、24日、上映終了後に少しだけ演奏します。アコースティックギターと声だけ。どんな風に聴こえるのかな。私も楽しみです。是非来て下さい。


会場:原宿キネアティック (http://www.kineattic.com)

2010年4月24(土),25(日)
13:00/15:00/17:00
※24(土)17:00〜の上映後、見汐麻衣(埋火)のミニライブ開催決定!

※25(日)17:00〜は頃安祐良×マキタカズオミ(脚本)と題し、2008年制作“シュナイダー”(第31回ぴあフィルムフェスティバル、第12回短編映像祭入選、2010年ドイツnippon connection招待上映)を同時上映!!上映後、2人のトークショーも開催予定!

前売り:800円
当日:1,000円

前売りチケットは三代川達(miyokawatachi@yahoo.co.jp)まで、お名前、日時、枚数等を明記の上、送りくださいませ!
三代川達HPでもご予約できます。(http://www.miyokawatachi.com/)
尚、上映会場は非常に狭い会場となっておりますので、満席になってしまう可能性もございます。お早めのご予約をよろしくお願い致します。


監督:頃安祐良
脚本:マキタカズオミ(elePHANTMoon)、頃安祐良
主題歌:埋火“溺れる魚”
音楽:原田仁(ROVO)、あらいふとし、佐古敬介

出演: 石井舞/宮本千奈津/松本高士/山口オン(elePHANTMoon)/足利彩/江ばら大介(elePHANTMoon)/泉光典/ハセガワアユム(MU)/芝博文/佐藤みゆき(こゆび侍)/保田泰志/尾本貴史/今村有希/高野恵一

<コメント>
見汐麻衣(埋火)
静かに進んでいく物語に、恐怖を感じました。
生活というのは営みながら何かを成していくことだと思っていましたが、壊していくことや忘れていくことの方が実は、生きてゆくには、生きやすく在るには必要な事柄なのではないかと思った。
大切なものがなにか、人は誰か、そもそも大切にするとはなにか、グレーな毎日に反吐がでそうな方に観て欲しい。なあ。

原田仁(ROVO)
この作品を三度観た。根底にあるのは音楽への愛、または憎悪である、と思った。そして音楽なんてなくても生きていける。なくても良いものだからこそ大切なものだ、と感じた。


【監督プロフィール】
1984年岡山県生まれ。
日本大学大学院映像芸術専攻修了。映像制作団体“三代川達(みよかわたち)”に所属。
2008年度制作“シュナイダー”が、第31回ぴあフィルムフェスティバル、第12回水戸短編映像祭入選。東京学生映画祭グランプリ。2010年ニッポンコネクション(ドイツ)にて招待上映。
自身の映像を制作する傍ら、トクマルシューゴ氏の“parachute”のMVビデオを制作するなど、活動は多岐に渡る。


明日は英子さんのワンマン!とても楽しみじゃ〜。
posted by 見汐麻衣 at 18:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年01月05日

おもひでぽろぽろ

先月の七針での「うたのしおり」の最中、奇妙君がMCの途中で「みしおさんは宮崎駿の映画何が一番好きなん?」と聞いてきたので
「おもひでぽろぽろ」と答えたら「、、、地味な女やなぁ笑」と言われました。

いやいやいやいや、「紅の豚」が映画としては一番好きやったりするし!と、思いながらこの話はそのまま終わったんですけど、

正直、「おもひでぽろぽろ」を観たのは公開当時、12歳の時のたったいちどきり。
なのに、なんであの時「おもひでぽろぽろ」と答えたんやろう、、と、ライブ後数日、ふわ〜っと考えておりまして、
(こういう部分が地味な女と言われるとこや、多分。)

12歳の頃、とても仲の良かった友達が本まで買って、
面白いなぁ、好きだなぁ、というけれど、私にはなーんも、面白さが全くわからず、それがまた、なにかこう、、悔しくて、
公開されてすぐにその友達と映画館へ観に行ったけれど、やっぱり、何が面白いのかわからず、
横を見ると涙ぐむ友人の表情が同じ年頃の女の子に見えず、ドキドキしてしまい、あげくよくわからない嫉妬心が残り、映画館を後にした記憶しかなくて、それ以来観ようとも思わなかったんですが、今日、なんとなく観ました。


とても、いい映画でした。
とってもいい映画。


当時、これを観て「大好きだなぁ、、」と、涙した彼女は私よりもだいぶん大人だったんだろうなぁ。
毎日、一緒に遊んで、きゃっきゃ言うてて、どんぐり拾ったり、木登りしたり、みかん畑に入ってみかんちぎって投げ合戦して、
ものすっごい怒られたり、なんでも話して、彼女の事を全部知ってる気でいた私は,
彼女には感じれて、私には感じれない「とあるもの」が、なんなのかわからなくて、それがきっと悔しかったんだろうなぁと、
今日ふと思いました。
私は当時、めいっぱい子供で、子供を謳歌しまくっていたのに、その隣で彼女はもしかしたら「みかん投げなんて、もう!おもしろくない!」って、思ってたんかなぁ、、。

もっかい、奇妙君が「みしおさんは宮崎駿の映画何が一番好きなん?」て、聞いてくれたら

「おもひでぽろぽろです。」

って、ちゃんと言おう。地味な女で、いいじゃない!

懐かしくなって彼女に電話しようと思うも、連絡先を知らないことに気付きました。

ふぅ、、、どうしてんだろなぁ。




imgres.jpeg










posted by 見汐麻衣 at 19:56| Comment(2) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする