2016年05月31日

ある日。


「ある日」

ある日
会社をさぼった
あんまり天気が
よかったので

公園で
半日過ごして
午後は
映画をみた
つまり人間らしくだな
生きたいんだよ僕は
なんて

おっさんが喋っていた
俳優なのだおっさんは
芸術家かもしれないのだおっさんは

ぼくにも かなしいものが すこしあって
それを女のなかにいれてしばらく
じっとしていたい


辻征夫さんの詩。

夕方、電車の中、座席に座り読む。
不意に泣けてきたものだから座って俯いていると涙が垂れてしまう。サッと座席を立ち、吊り広告を見るふりをしながら流れそうになる涙をとめる。
「不意をつかれる」ということが時々ある。
ぼんやりしているときにそれはよくある。
なんとなし、開いたページや、ふいに目にした看板の文字。
街にある落書き、電柱や標識に貼られたステッカーの中の短い言葉。
偶然か、思い込みか、「今」の全てを肯定してくれるようなものが多い。

一年前の今頃、近所の蕎麦屋で昼食をとっていた。
新聞を開いて最初に目に飛び込んできた言葉。
「感性にまっすぐ届く作品群はひとつ誤ると退廃に転ぶ」
この日、ブツブツと念仏を唱えるようにこの言葉を口にしながら
どういうことなのか、ずっと考えるいちにちがありました。





posted by 見汐麻衣 at 19:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする